肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
肝細胞癌における肝組織内HBs抗原およびHBc抗原の局在について
徳山 勝之辻 孝夫内藤 紘彦岡田 武志長島 秀夫
著者情報
ジャーナル フリー

1977 年 18 巻 6 号 p. 395-400

詳細
抄録
HBウイルス(HBV)のHBs抗原およびHBc抗原の肝細胞癌組織内局在を,蛍光抗体法およびperoxidase抗体法を用いて検索した.対象材料は血中HBs抗原陽性6例,HBs抗体陽性2例および両者ともに陰性2例の合計10例の手術もしくは剖検によって得た肝組織である.
その結果,血中HBs抗原陽性6例では,非癌部肝細胞の細胞質内にHBs抗原を,同じく核内にHBc抗原を全例に検出したが,肝癌細胞内にはHBs抗原,HBc抗原ともに検出することができなかった.一方,その他の4例では,非癌部および癌部肝細胞に,全例,HBs抗原ないしHBc抗原を認めなかった.
従って,従来,疫学調査などで報告されているHBVと肝細胞癌との陽性の関連を,ウイルス抗原の面から細胞レベルでは証明できず,今後さらにこの分野からの研究が望まれた.
著者関連情報
© 社団法人 日本肝臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top