肝臓
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急性B型肝炎におけるHBe抗原の臨床的意義
中島 正男伊藤 喜一熊田 博光吉場 朗
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1978 年 19 巻 3 号 p. 246-249

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抄録

最近の約一年間に経験した急性B型肝炎のうち,早期よりB型肝炎ウイルス情報を検索することの出来た12例につき,主としてHBe抗原の出現様式と臨床経過との関係につき検討した.6例は医療従事者で血中でのHBs抗原陽転を機会に経過観察を始めたものである.このうち4例にHBe抗原の一過性出現をみた.出現の時期は血中HBs抗原のPeak時で,そのtiterは210以上のものであり,非出現例に比し,血中HBs抗原の持続期間が長く,臨床所見も重いものが多かった.他の6例は急性肝炎症状を発症した後,来院したもので,このうち初診時の血中HBs抗原のtiterが210であった輸血後肝炎の一例にHBe抗原が一過性に認められたのみであった.これら12例の急性B型肝炎はHBe抗原の出現の有無に関係なく全例順調な経過で治癒した.以上の結果より,急性B型肝炎に出現するHBe抗原は必ずしも予後判定の指標とはなり得ないと考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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