肝臓
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薬物アレルギー性肝内胆汁うつ滞の発生機構に関する研究
溝口 靖紘大西 文明志波 孝東森 俊博藤山 進門奈 丈之山本 祐夫大谷 周造森沢 成司
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1979 年 20 巻 7 号 p. 673-687

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抄録

薬物アレルギー性肝炎における肝内胆汁うっ滞の発生機序を免疫学的に解明するため,本症患者の末梢血リンパ球をin vitroで起因薬物およびcarrier蛋白質とともに48時間培養し,その培養上清(lymphokines)をラットの腸間膜静脈に注入した.その結果,胆汁排泄量の著明な減少が観察され,胆汁中の胆汁酸排泄も減少を示した.また,肝の電顕像では毛細胆管の拡張,microvilliの減少または消失などの像が観察され,既報の犬の実験系と同じく,ラットにも急性肝内胆汁うっ滞を誘導せしめた.1部の症例の培養上清をSephadex G-100のゲル濾過で分画すると5つの分画に分けられたが,胆汁うっ滞を起こす因子は第4分画に含まれており,この分画はにはMIF活性が認められた.以上の成績は,薬物アレルギー性肝障害患者の感作リンパ球が起因薬物によって刺激されると,lymphokinesが産生され,その中に含まれる因子が胆汁うっ滞を誘起する可能性が示唆される.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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