肝臓
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特発性門脈圧亢進症の成因に関する一考察
古賀 正広
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1980 年 21 巻 2 号 p. 190-202

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抄録
特発性門脈圧亢進症(IPH)の際みられる末梢門脈枝の潰れの形態発生の一端を解明する目的で,日本住血吸虫症(日虫症)家兎実験例の修復過程,ヒト日虫症剖検例の肝組織を観察するとともに,慢性日虫症肝,肝硬変症肝の血管構築を透明標本,軟X線にて観察した.日虫症は門脈末梢枝における成熟虫卵の塞栓に始まり,高度の門脈炎,門脈周囲炎を惹起し,経時的に虫卵結節は瘢痕化し肝細胞の再生とともに結合織も減少する.慢性日虫症肝の血管構築は門脈末梢枝の狭小化,潰れ,しだれ柳状変化,分岐角の鈍角化,分枝の減少などが特徴で,肝硬変症の血管と対照的である.慢性日虫症肝は日虫卵の介在を除外すればIPH肝と組織所見,血管構築がよく類似し,いずれも肝病変は門脈末梢枝変化が一次性の病変と推定される.しかし,IPHに常に認められる巨脾が慢性日虫症で必発でないことはその成因は明らかではないが,門脈病変の拡がりに差異があるのかもしれない.今後に多くの解明すべき問題を残している.
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© 社団法人 日本肝臓学会
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