抄録
門脈血中に存在するhepatotrophic factorであるglucagonとinsulinの共役的肝再生促進作用に着日し,急性肝不全に対する臨床的応用を試みた.すなわち急性期の肝細胞壊死の抑制,肝再生の促進および意識障害の改善を期待し,急性肝不全15例にglucagon-insulin療法を施行し,5例の生存例をえた.また生存例以外に2例の意識改善例があった.本療法の有効例・生存例は治療開始時にいずれも意識障害がsherlock III度以下のものであり,早期に劇症化を予知して本療法を開始すれば予後もさらに良好になる可能性がある.そして,その早期診断にはhepaplastin test, rapid turnover proteinsが有効な指標となること,肝再生の指標としてAFPが有用であることをしった.なお本療法によって,低K血症,低血糖がときにみられるが,重篤な副作用はまったく認めなかった.