肝臓
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一過性汎血球減少症を伴ったアルコール多飲B型肝炎の1例
小森 英司冨田 周介沖本 芳春藤堂 彰男北浦 保智
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1981 年 22 巻 1 号 p. 79-85

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抄録

26歳,男性.数年来連日日本酒5~6合摂取していたが,黄疸,腹満を主訴に来院した.入院時理学的所見にて黄疸,腹水,浮腫を認めた.臨床検査にて汎血球減少症,黄疸を伴なう閉塞型類似の肝障害を認め血中HBsAg, HBcAb陽性であった.入院後安静,輸液により黄疸,腹水,浮腫は一週間で消失し汎血球減少症も1カ月後に正常化した.第10病日の骨髄像は過形成を示し,第17病日の腹腔鏡下肝生検にて肝は低陥凹を有する白色肝で組織では肝細胞の腫大pericellular fibrosisマロリー小体を認め門脈域の線維化,好酸性変性Kupffer細胞増生は軽度でオルセイン陽性物質を認めた.本例はB型肝炎にアルコール性肝障害が加重したものと解され,腹水,汎血球減少症は肝細胞腫大pericellular fibrosis類洞の狭小化による門脈圧亢進,脾機能亢進に原因したものと考えられた.

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