肝臓
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Radioimmunoassayによる血中3β-hydroxy-5-cholenoic acid測定法の開発とその臨床的応用
山口 彰
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キーワード: 肝胆道疾患, 胆汁酸合成
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1981 年 22 巻 9 号 p. 1231-1238

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抄録

生体試料中の異常胆汁酸3β-hydroxy-5-cholenoic acidを測定するため,精度と特異性に秀れたradioimmunoassay (RIA)を開発し,本測定法を用て,肝胆道疾患における血中3β-hydroxy-5-cholenoic acidの臨床的意義について検討を加えた.今回確立したRIA法の検出限界感度は約10 pmoleで, 本assay系の信頼度は交叉反応試験や添加試験によって検討し,その結果充分満足すべきものである事が確認された.本法による正常人の空腹時血中3β-hydroxy-5-cholenoic acid濃度は,135±59 pmole/mlで血中総胆汁酸の約3%以下を占める極めてminor構成分であった.肝疾患群では,閉塞性黄疸,肝硬変症,急性肝炎,原発性肝癌で正常人に比べて有意の増加をみたが,本胆汁酸はminor構成分であることに変わりはなく,血中レベルは胆汁うっ滞や,慢性肝細胞不全において上昇するが,それらの値は各疾患群の間でoverlapが存在する.また血中3β-hydroxy-5-cholenoic acid濃度は,従来の肝機能検査との間に一定の相関関係を認めなかった.肝胆道疾患における本胆汁酸の血中上昇は,おそらく病的肝における胆汁酸合成altered pathwayの反映であることが推定された.

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