肝臓
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劇症型急性アルコール性肝炎の2例
田沢 潤一湊 志仁阿部 恒男尾崎 行雄稲月 文明蓮村 靖武内 重五郎広川 勝〓
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1982 年 23 巻 6 号 p. 649-655

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抄録

急速に肝不全となり死亡した劇症型急性アルコール性肝炎の2剖検例を報告した.症例1は,36歳,男.大酒家で,入院1ヵ月前より腹部膨満・黄疸が出現したが飲酒を続け,症状増悪し入院となった.入院後,腹水・黄疸が次第に増悪し,第11日目より肝性脳症(I度)が出現,治療にもかかわらず第18日目に昏睡となり,出血傾向も出現し,第19日目に死亡した.症例2は,60歳,男.入院の約40日前より黄疸が出現したが飲酒を続け,食欲不振・倦怠感が強く入院となった.入院後まもなく異常行動が出現し,徐々に意識レベルの低下が目だつようになり,入院第4日目に肝性脳症III度となった.入院第5日目に多量の下血ののちショック状態となり,無尿となった.腹膜灌流を施行したが効果なく,第6日目に気道からの出血も加わり,死亡した.剖検所見では,両症例とも肝硬変症を伴わない,アルコール性肝炎の所見であり,第1例では,アルコール硝子体が多数認められた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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