肝臓
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3β, 7β-dihydroxy-5β-cholan-24-oic acidのヒトにおける代謝
南部 勝司浪久 利彦及川 洋子大浜 宏文前田 稔上田 英雄
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1982 年 23 巻 9 号 p. 979-987

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抄録

3β, 7β-dihydroxy-5β-cholan-24-oic acid(3β, 7β-diOH)の,ヒト血中,胆汁中および尿中での存在様式を,健常者5例,ursodeoxycholic acid (UDCA)服用中の胆石患者20例について検討した.3β, 7β-diOHは,健常者空腹時血清中に微量に検出され,その値は0.08±0.07μg/ml(mean±SD)であった.この物質は,血中ではほとんどが遊離型の状態で存在し,アミノ酸抱合型や硫酸抱合型は認められず,胆汁中では,いずれの型でもまったく検出されなかった.尿中胆汁酸の定量はきわめて困難であって,正確な濃度を算出することはできなかったが,尿中で3β, 7β-diOHは大部分が遊離型として存在するもののようであり,一部はアミノ酸抱合型として排泄される可能性も示唆された.硫酸抱合型はほとんど検出されなかった.尿中クリアランスは他の胆汁酸に比べて低かった.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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