肝臓
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閉塞性黄疸における肝の形態的変化と減黄術後の可逆性
特に肝微細構造の定量的解析を中心とした実験的研究
横井 一
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1983 年 24 巻 12 号 p. 1381-1391

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抄録

雑種成犬を用い,胆のう摘除,総胆管結紮切離を行って閉塞性黄疸を作成し,肝の微細構造の変化を定性的並びに定量的に解析するとともに,黄疸軽減術を行ってその推移を観察し,黄疸遷延例の特徴や黄疸肝の可逆性につき検討した.黄疸作成により肝細胞ではミトコンドリア1個当りのcristaeの膜面積,及び小胞体の膜面積は減少し,ライソゾームの容積比は増加し,毛細胆管は特に中心域で著しく拡張した.これらの変化は黄疸2週目に減黄術を行うと比較的良好な回復を示したが,3週目では減黄術を行ってもその回復は遷延した.また減黄術後の黄疸肝の可逆性を最も反映する形態的変化はミトコンドリア1個当りのcristaeの膜面積と考えられた.一方Kupffer細胞は黄疸作成後のみならず,減黄術後も異物を貪食して肥大し,類洞腔を占居しており,これが類洞の循環障害を招来し,ミトコンドリアの回復を遷延せしめる重要な因子の一つになっているものと考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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