肝臓
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慢性エタノール投与ラットの肝組織酸素分圧に関する検討
目連 晴哉佐藤 信紘岸田 隆井上 敦雄笠原 彰紀斉藤 光則佐々木 裕吉原 治正林 紀夫房本 英之鎌田 武信阿部 裕
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1983 年 24 巻 7 号 p. 699-703

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抄録

慢性にエタノールを飲用させたラットの肝組織PO2を微小組織酸素電極で測定し,更に急性エタノール負荷の肝組織PO2に対する影響についても検討を加え,健常及び四塩化炭素障害肝と比較した.慢性エタノール負荷ラットでは空気吸入時の肝組織PO2は8mmHg(中央値)と,健常ラット肝の23mmHgに比べて極めて低値であり,四塩化炭素障害肝の6mmHgに匹敵する値を示した.エタノ-ル1g/kgを急性経口負荷すると健常肝では臓器反射スペクトル法で測定した肝局所血液量が代償的に7.5%増加し,肝組織PO2は1.5~2倍に増加するのに対し,慢性エタノ-ル負荷ラットでは肝局所血液量の増加は軽度で,肝組織PO2は一過性に低下した後上昇したが依然として低値であった.以上慢性エタノール負荷ラット肝はhypoxiaを呈し,エタノール急性負荷による血流及び酸素供給の代償的増加が不充分であることが明らかとなった.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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