肝臓
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水素クリアランス法による肝血流測定の基礎的検討
黒沢 和平林 紀夫笠原 彰紀目連 晴哉佐々木 裕佐藤 信紘鎌田 武信阿部 裕萩原 文二
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1983 年 24 巻 7 号 p. 728-732

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抄録

水素クリアランス法をratの肝局所血流測定に適用するため,そのsensorである白金電極を作製し,灌流rat肝を用いてその精度を確認した.
なお,これらの肝局所血流量を求めるための,水素クリアランス曲線の処理にあたっては,門脈からの水素再流入が無視できると確認された,水素吸入完了後1ないし2分後からの曲線を解析した.
さらに,この水素電極を用い,正常及び四塩化炭素障害ratの肝局所血流量を測定したところ,それぞれ,0.99±0.14ml/g liver・min, 0.63±0.22ml/g liver・minであった.四塩化炭素障害肝において,肝血流と組織障害の関係を検討すると,壊死が小葉の1/3以下であった群の平均血流量は0.78ml/g・minであり,障害が更に高度であった残りの群では0.48ml/g・minを示し,肝局所血流量は,壊死が小葉の1/2を越えると,急速に減少する傾向が認められた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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