肝臓
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B型慢性活動性肝炎におけるe抗原からe抗体へのseroconversionの臨床病理学的研究
加登 康洋平井 信行鵜浦 雅志田中 延善小林 健一服部 信中沼 安二
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キーワード: B型慢性肝炎, e抗原, e抗体
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1985 年 26 巻 8 号 p. 987-992

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抄録

B型慢性肝炎の経過中に,e抗原からe抗体にseroconversionした症例のうち,e抗原,e抗体陽性時におのおの肝生検を施行しえた7症例について,病理組織学的推移について検討を加えた.e抗原陽性時では,門脈域の拡大,限界板の破壊,ロゼット形成,肝細胞の風船化,parenchymal inflammation は中等度から高度にみられる症例が多くみられたが,e抗体陽性時には,これらの所見は全例改善傾向を示した.しかし中等度のlobular dysorganizationを認めた5例中2例は高度に進展した.e抗原,e抗体陽性時における肝組織像の診断への推移について検討すると,慢性活動性肝炎のmoderate typeを呈した4例のうち1例は慢性持続性肝炎,2例はthin septa formationを伴う持続性肝炎,1例は不変,severe typeの慢性活動性肝炎を呈した3例では,1例はthin septa formationを伴う持続性肝炎を呈したが,2例はinactive肝硬変への移行が認められた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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