肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
B型肝炎におけるアルブミン・レセプター活性の臨床的検討
迎 慎二斉藤 孝一正木 盛夫森藤 隆夫吉田 浩粕川 禮司
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 27 巻 5 号 p. 569-575

詳細
抄録

B型肝炎患者53名のalbumin receptor活性(pHSA-BA, AR活性)をpHSA感作赤血球凝集反応により測定し,その臨床的意義を検討した.本活性は,HBeAg陽性群で高値(8.3)を示し,HBeAb陽性群では低値(3.5)であった.HBeAg陽性群を病型別にみると無症候性キャリアー群(9.8),慢性肝炎群(8.3),肝硬変群(5.8)と病変が進展するにつれて低下した.またpHSA-BAは,HBeAg (r=0.79), HBV-DNA (r=0.69), HBsAg-IgM complex (r=0.85)と有意の相関を示した.本活性を経時的に観察すると,transaminase上昇の1~2カ月前にピークを示し,その変動はHBV-DNA, HBsAg-IgM complexとほぼ一致する事が確められた.以上より本活性は,HBVの感染性の強さを示し,さらにAVHの慢性化の予想,CAHのSchubの予測,ステロイド剤,Ara-A等の薬剤投与の適応の決定,治療効果の判定等に有用である事が示された.

著者関連情報
© 社団法人 日本肝臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top