肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
特発性門脈圧亢進症類似犬における肝血行動態の解析
杉田 周次郎大西 久仁彦斉藤 正明野村 文夫奥田 邦雄
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 27 巻 6 号 p. 789-796

詳細
抄録

門脈内へ,非病原性大腸菌及び同菌感作犬血清凝集液を注入し作製した人の特発性門脈圧亢進症類似犬(実験群)の肝血行動態を無処置群(コントロール群)と対比検討した.実験群の肝組織は,種々の程度の門脈域線維増生,門脈の潰れをなし,また異常血管の出現をみた.実験群の門脈圧は,15.8±5.4mmHg,肝内圧は,6.8±2.1mmHgとコントロールに比べ有意の上昇を認めた.門脈血管抵抗は,実験群でコントロール群の約2.7倍に上昇していた.門脈血流量は,実験群でコントロール群に比し約1.5倍に増加していた.これは,実験群でコントロール群に比して唯一重量が増加した脾臓由来の肝血流量の増加と小腸,大腸,大網血流量の増加したことによった.以上より,本実験犬での門脈圧上昇は,類洞前性の門脈血管抵抗の上昇と脾臓,小腸,大腸,大網由来の門脈血流量の増大によるものと考えられた.

著者関連情報
© 社団法人 日本肝臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top