肝臓
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原発性胆汁性肝硬変に多発性筋炎を合併した1症例
佐藤 仁志矢崎 康幸鈴木 貴久高橋 篤関谷 千尋並木 正義
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1986 年 27 巻 6 号 p. 822-828

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抄録

原発性胆汁性肝硬変(PBC)の経過観察中,多発性筋炎(PM)を合併した1例について報告する.症例は58歳男性.昭和56年12月人間ドックではじめで肝機能異常を指摘され昭和57年2月当科へ紹介入院となり,PBCの診断を得て外来で経過を観察していた.昭和58年冬から軽度の全身倦怠感が,また同年夏頃より四肢の脱力感が出現し持続したが日常生活に支障はなかった.昭和59年11月,当科外来を受診し四肢近位筋主体の筋萎縮とCPKの著増を認めたため再入院した.入院後の筋生検などからPMと診断し,Prednisolone 45mg/日の投与を開始したところ,よく治療に反応しCPK値の正常化および肝機能検査値の一部改善をみた.PBCとPMの合併は本症例が本邦3例目であり,外国文献にもその報告はわずかしかないが,PBCの自己免疫機序との関連においても興味深く,また潜在する同様の症例をひろい上げる意味からも示唆に富む症例と思う.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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