肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
遺伝性高コリンエステラーゼ血症の2家系
松田 幸彦河田 純男乾 由明松沢 佑次北村 征治垂井 清一郎
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 28 巻 10 号 p. 1377-1382

詳細
抄録

正常値の2~5倍の血清コリンエステラーゼ(acylcholine-acyl-hydrolase, EC3.1. 1.8,以下Ch-E)値を示す遺伝性変異Ch-Eの2家系を経験したので報告する.2家系中Ch-E高値を示した4例には,二次的に高Ch-E血症を来たすネフローゼ,脂肪肝,糖尿病,高脂血症,甲状腺機能亢進症などの基礎疾患を認めず,血清のポリアクリルアミド電気泳動にて通常のCh-E活性帯よりも泳動度の遅いextra band (Additional Band)が認められた.またdibucaine, sodium fluorideによるその活性阻害率は両家系共に正常であった.家系調査の結果,この変異Ch-Eは常染色体優性遺伝をすると考えられた.以上の成績よりここに報告したCh-EはNeitlichの言うE Cynthiana変異Ch-Eと同じであると考えられた.

著者関連情報
© 社団法人 日本肝臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top