肝臓
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B型肝炎ウイルス感染の予防に関する臨床的研究
吉川 明
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1987 年 28 巻 11 号 p. 1413-1422

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抄録

B型肝炎ウイルスの感染を予防する目的でHBIG(抗HBs人免疫グロブリン)およHBワクチンの効果を検討した.注射針等で誤ってHBウイルス汚染をうけた医療関係者407名に汚染事故後72時間以内にHBIGを投与した結果2名がB型急性肝炎を発症したにすぎなかった.また,596名の医療関係者を対象にHBワクチンを3回接種し,533名(89.4%)がHBs抗体を獲得した.さらに,母子感染では無処置の場合HBe抗原陽性の母親から生まれた児67名中57名(85.1%)がHBVキャリア化したのに比し,HBIGおよびHBワクチンの併用投与により75名中4名(5.3%)がHBVキャリア化したにすぎなかった.以上の成績はHBIGおよびHBワクチンがB型急性肝炎の予防に極めて有用であることを示した.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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