肝臓
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Ursodeoxycholic acidによる胆汁生成の特異性について-ラット分離肝灌流法を用いての検討-
蜂矢 仁早川 富博片桐 健二大西 勇人川村 益生竹島 彰彦吉岡 宣夫星野 信塚田 勝比古宮治 真武内 俊彦
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1987 年 28 巻 8 号 p. 1098-1106

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抄録
UDCによる胆汁生成の特異性について,ラット分離肝灌流法を用い検討した.UDC添加においてはTUDC, CA, TCA添加と異なり,胆汁中重炭酸イオン濃度の増加を伴う著しい利胆を認めた.また,TUDC, CA, TCA添加時の胆汁流量と胆汁酸排泄率との間に明らかな直線関係を認めたのに対し,UDC添加時では胆汁流量と胆汁酸排泄率のみならず,胆汁流量と肝内胆汁酸濃度,胆汁流量と胆汁中重炭酸イオン濃度との間にも有意な相関を認めた.UDCとouabain同時添加では,UDCの胆汁中への排泄が促進された結果,肝内胆汁酸濃度が低値となり,同時にUDC単独添加で認められた胆汁流量および胆汁中重炭酸イオン濃度の著しい増加が抑制された.一方,TCAとouabainの同時添加では,胆汁酸排泄に変化はなかった.
以上よりUDCによる胆汁生成では,他の胆汁酸と異なり,肝細胞内に貯溜したUDCが毛細胆管への重炭酸イオソの分泌を刺激することが胆汁生成の重要な因子であると考えられた.
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© 社団法人 日本肝臓学会
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