肝臓
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実験的肝線維症における脾摘の影響
田中 秀雄大西 久仁彦飯田 眞司野村 文夫
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1988 年 29 巻 11 号 p. 1467-1475

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抄録

ラット腹腔内に正常ブタ血清を10週間投与して実験的肝線維症を作成した.この際,予め脾摘を行いブタ血清を投与した群と,対照として開腹操作のみを行ったsham群との間に作成された肝線維症に差があるか否かを組織学的,生化学的に比較検討した.
その結果ブタ血清投与前に脾摘した群では脾摘しなかった群に比べて肝線維化の程度は組織学的に軽度で,コラーゲン量も有意に低値であり脾摘は肝線維化に対して抑制的に働くことが示唆された.また脾摘した群ではプロリルハイドロキシラーゼ活性は全体に低い傾向を示した.コラーゲナーゼ活性は8週まではshm群の方が高い傾向であったが,10週ではこの傾向は逆転していた.
この肝線維化抑制効果は12週間ブタ血清を投与した場合にも観察された.また中途(ブタ血清投与開始後6週目)に脾摘した場合には肝線維化抑制効果はみられなかった.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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