肝臓
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肝原発Myelolipomaの1例
画像診断所見を中心に
広村 忠雄森田 穣内野 純一藤田 美悧佐々木 憲一
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キーワード: 肝腫瘍, 血管造影
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1989 年 30 巻 1 号 p. 88-92

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抄録

極めて稀な肝原発.Myelolipomaの1例を報告する.症例は73歳女性,腹部不定愁訴にて近医受診しUSにて肝後上区にhyperechogenic massを発見される.CTにてenhanceされる脂肪性腫瘍と判明し,血管造影ではhypervascularityを呈した.MRIにて病変部はT1強調像でhypointensity, T2強調像でhyperintensityを呈した.これら画像診断から悪性を否定しえず,針生検を施行するも検体不足の為に診断に至らず,肝右葉切除術が施行された.術後病理組織学的にmyelolipomaと診断された.肝原発myelolipomaは現在まで本症例を含め6例のみが報告されている.術前のUS, CT,血管造影等から他の脂肪成分に富む肝腫瘍との鑑別は困難とされている.しかし本症例に始めて施行されたMRIにおけるT1強調像は報告されている脂肪変性を伴う肝細胞癌のT1強調像と明らかに異なり,両者を鑑別する上で有用な所見と考える.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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