肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
多数の円形高エコー病変を肝内に認めた晩発性皮膚ポルフィリン症の1例
川本 智章井戸 健一人見 規文磯田 憲夫大谷 雅彦木村 健望月 真広田 紀男近藤 雅雄
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 30 巻 2 号 p. 241-246

詳細
抄録
症例は49歳,男性.昭和58年,肝機能障害を指摘された.昭和62年4月,当科を受診し,多発性の高エコー病変を指摘され入院.既往歴として25歳時,輸血歴がある.39歳より糖尿病を指摘され,Glibenclamideを内服している.飲酒歴はビール1本/日,30年間.入院時,皮膚症状はなく,軽度の肝機能障害を認めた.腹腔鏡検査では軽度の白色紋理と小陥凹を認め,多数の円形~地図状の暗紫青色病変がみられた.超音波腹腔鏡にて同病変は高エコーに描出された.紫外線照射により,生検標本の暗紫青色部に,淡い赤色蛍光がみられた.生検組織像はchronic persistent hepatitisであり,暗紫青色部には脂肪変性を認めた.ポルフィリン体の分析では,尿中ウロポルフィリン,及び7-カルボキシルポルフィリンの増加を認め,皮膚症状を欠く晩発性皮膚ポルフィリン症と診断された.本症例の確定診断には,腹腔鏡検査,及び超音波腹腔鏡画像誘導下の狙撃生検法が極めて有効であった.
著者関連情報
© 社団法人 日本肝臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top