肝臓
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肝細胞癌組織中におけるB型肝炎ウイルスX蛋白関連抗原の発現様式に関する研究
五十嵐 健太郎青柳 豊鈴木 康史小方 則夫斉藤 敦小黒 仁上村 朝輝市田 文弘刀禰 有紀子岡崎 博
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1989 年 30 巻 4 号 p. 408-414

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抄録

肝細胞癌24例を含む各種肝疾患33例の肝組織ホモジェネートにつき,抗ペプチド抗体を用いたウエスタンブロット法にてB型肝炎ウイルスX蛋白の発現様式を検討した.一次抗体はX蛋白領域中の2種類の合成ペプチドを家兎に免疫して作成し,大腸菌に発現させたX蛋白により,その特異性を確認した.2種類の抗ペプチド抗体と一致して反応した肝組織内蛋白すなわち両抗原決定基を有する蛋白は,塩基配列より推定されるX蛋白の分子量の17kDaではなく14kDaであったが,X蛋白の一部が発現されていると仮定し,この蛋白の有無と病態ならびに血中HBVマーカーとの関連を検討した.14kDaのバンドは肝癌(HCC)組織のみに認められ,肝硬変,転移性肝癌,他の肝疾患には認められなかった.HCC 24症例中ではHBs抗原,HBs抗体,あるいはHBc抗体のいずれかが陽性のHBV関与13例中4例に陽性であったが,それ以外のHBV非関与の11例中2例にも陽性であった.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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