肝臓
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肝硬変患者の血漿アミノ酸組成の是正および窒素平衡の保持に必要な経口アミノ酸組成と量に関する研究
大久保 博忠
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1989 年 30 巻 9 号 p. 942-951

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抄録

肝硬変患者における個々のアミノ酸の摂取必要量を知るため,等カロリー,等蛋白量という条件下で,分枝鎖アミノ酸(BCAA),芳香族アミノ酸(AAA),メチオニン(Met)等の割合を段階的に変化させた食事を10例の肝硬変患者に投与し,窒素平衡を正に保ちながら血漿アミノ酸組成を正常化するのに要する各アミノ酸の必要量を求めた.
1)血漿アミノ酸濃度は摂取アミノ酸量を反映して変化し,摂取アミノ酸のBCAA/AAA比を上昇させると血漿アミノ酸のBCAA/AAA比も上昇した.その際窒素平衡はやや低下するものの,アルブミン,プレアルプミン,レチノール結合蛋白濃度に著変はなく,血漿アンモニア値は低下した.2)肝硬変患者の血漿アミノ酸組成の是正,窒素平衡の保持のために必要なアミノ酸総量は約10.2mmoles/kg/日(1.27g/kg/日)であり,その半量を肝性脳症食より残りの半量をAAA,Met等を含まずBCAAを多く含む結晶アミノ酸顆粒として投与するのが有用であると考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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