抄録
輸血を受けた187例の患者(肝炎発症群83例,非発症群104例)に使用された1148単位の輸血製剤の献血時GPT値を調べ,輸血後肝炎発症との関係を調べた.献血時GPT値26単位以上の献血者から得た血液を輸血された患者は25例あった.このうち肝炎が発生したのは16例で輸血後肝炎発症群の19%を占めたのに対し,肝炎が発生しなかったのは9例で非発症群の9%に過ぎず,GPT値26単位以上の血液は肝炎発症群に多く使われでいた.一方GPT値10単位以下の血液のみの輸血を受けた例は肝炎非発症群に多かった.これより献血時GPT値25単位以下の血液のみを輸血に使用することにより輸血後肝炎の発生が減少する可能性が示唆された.