肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
脂肪変性を呈した培養ラット肝細胞にたいするタウリンの作用
林 泉彦
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 31 巻 3 号 p. 331-336

詳細
抄録

初代培養ラット肝細胞に実験的な脂肪変性を作成し,これに対するタウリンの抗脂肪変性作用を検討した.実験的脂肪変性は初代培養ラット肝細胞の培養液に高濃度(50%)ラット血清を添加して作成した.50%ラット血清の添加によりラット肝細胞の伸展が促進され,培養8時間および24時間後では対照群に比べて細胞質に有意に多数の中性脂肪滴の出現を認めた.脂肪変性はリポ蛋白代謝機能を失った株化肝細胞ではみられなかった.この脂肪変性は最終濃度10および100mMのタウリンを培養開始時より添加することにより有意に抑制され,濃度依存性を示した.培養20時間後の電顕像において,タウリン群では脂肪滴周囲の粗面小胞体にribosomeと考えられる高電子密度粒子の著明な増加が認められた.タウリンはVLDLの放出に対して促進的あるいは保護的に作用するため抗脂肪変性作用を発現するものと考えられた.

著者関連情報
© 社団法人 日本肝臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top