肝臓
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癌を内包する肝過形成結節の病理形態学的研究
外科切除例を中心に
杉原 茂孝中島 収清松 和光枝光 理神代 正道
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1990 年 31 巻 3 号 p. 324-330

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抄録

外科的切除された肝過形成結節10症例,特に癌を内包する過形成結節の5症例についての病理形態的特徽について検討した.
癌を内包する過形成結節と癌の内包のない過形成結節は,結節内の癌の存在を除けば,肉眼,組織所見とも非常に類似した結節性病変である.しかし,結節の大きさは癌を内包する過形成結節が平均16.2±4.9(SD)mm,癌の内包のない過形成結節が平均9.4±1.3(SD)mmと癌を内包する過形成結節の方が有意に大きい(p<0.02).癌を内包する過形成結節や非癌肝組織の混在する肝癌結節は,前者に5例中4例(80%),後者では3例全例に種々の程度に脂肪化を伴っており,過形成結節の癌化と脂肪化が何らかの関わりがあることが示唆される.癌の内包のない過形成結節,癌を内包する過形成結節,及び非癌肝組織の混在する肝癌の間には一連の関係があり,過形成結節からの癌化及びその進展という過程が推察される.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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