肝臓
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門脈大循環系シャントを伴った肝硬変合併肝細胞癌の2治験例
大坪 毅人高崎 健武藤 晴臣矢川 彰治山本 雅一中川 昌之有賀 淳林 和彦小林 誠一郎羽生 富士夫
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1990 年 31 巻 3 号 p. 342-345

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抄録

門脈大循環系シャントを伴った肝硬変症では,門脈血が直接大循環系に必要以上に流出するため,有効肝血流量が低下している.このため肝機能は一層低下したものとなり,時には脳症を引き起こすこともある.こういう脳症に対しシャントを閉鎖することは,症状及び,肝機能の改善に有効であると言われている1~3).
そこでわれわれはシャントをともなった肝硬変合併肝癌の症例においても,シャントの閉鎖により肝血流量の増加のみならず肝機能の回復がみられると考え,シャント閉鎖前後でICGR15を比較してみた,その結果症例1では,術前56%から35%へ,症例2では術前51%から33%へと改善を示し,それぞれS4部分切除,S5部分切除を行い良好な結果を得たので報告する.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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