肝臓
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急性胆嚢炎に合併した肝梗塞の一救命例
東 泰行岩田 和郎奥村 明彦矢野 元義竹島 弘知広藤 秀雄川部 正己林 喜代治杉江 開山脇 忠晴
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1990 年 31 巻 3 号 p. 346-352

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抄録

肝梗塞は肝の肝動脈・門脈による二重支配のため極めて稀な疾患であり生前診断は困難とされている.今回われわれは胆石・急性胆嚢炎に合併した肝梗塞の1例を経験したので報告する.症例は87歳女性,強い右上腹部痛にて当院受診,CT上胆石・急性胆嚢炎の所見あり入院,肝機能検査値の著明上昇とほぼ右葉下区域全体を占める低吸収域を認め,ダイナミックCTにて肝梗塞と診断した.肝梗塞は肝動脈の閉塞あるいは肝の酸素欠乏をおこす要因に基き発症すると考えられ本例においても胆嚢炎がその要因と考えられた.本例のような重篤な臨床症状を呈する患者には,肝梗塞も鑑別診断の一つに考え早期診断・加療が必要と考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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