肝臓
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初代培養肝細胞における細胞内カルシウムoscillationの単一細胞レベルでの検討
田中 由宇志林 紀夫金子 晃古沢 俊一伊藤 敏文黒沢 和平三善 英知佐々木 裕笠原 彰紀房本 英之鎌田 武信
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1991 年 32 巻 2 号 p. 161-168

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抄録
肝細胞における細胞内情報伝達のメカニズムを解明するため,fura-2を負荷した初代培養肝細胞を用い,細胞内セカンド・メッセンジャーのひとつである細胞内カルシウムイオン濃度([Ca2+]i)の単一細胞レベルでの検討を行った.[Ca2+]iの測定は,デジタル蛍光顕微鏡を用い,培養肝細胞の付着したchamberを保温したbufferで持続的に灌流しながら,ホルモン刺激後経時的に行った.phenylephrineおよびvasopressin剌激による[Ca2+]iは,周期的に繰り返す複数のピークからなるoscillationを示した.また,同一細胞を何種類かのホルモン濃度で順次刺激したところ,ホルモン濃度が上昇するに従い,oscillationの周波数が高くなったが,振幅には明らかな増加は認めなかった.このようなagonist濃度依存性の周波数を示すoscillationは,肝細胞において周波数によりコード化された情報伝達が行われていることを示唆するものと考えられた.
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© 社団法人 日本肝臓学会
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