肝臓
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長期のアセトアミノフェン服用により肝不全を来した症例
古賀 郁利子中島 裕神代 龍吉上野 隆登向坂 彰太郎安本 潔佐田 通夫安倍 弘彦谷川 久一加来 信夫
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1991 年 32 巻 5 号 p. 512-515

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抄録

アセトアミノフェンを含む市販の解熱鎮痛剤の乱用により肝不全を来した症例を報告した.症例は33歳の女性で,28歳時よりナロン錠Rを断続的に服用するようになっていた.31,32歳時には肝障害にて近医入院の既往があった.以後も服用は続き,多いときは1日40錠(アセトアミノフェン量として5,300mg)を服用するようになった.最終服用後2日目に著明な肝障害で当病院に入院となった.アセトアミノフェンによる肝不全と診断され血漿交換,glucagoninsulin療法やグルタチオン,N-アセチルシステイン,シメチジンの投与により救命した.第20病日の肝生検では小葉改築傾向を認め前肝硬変状態であった.
長期の服用により,グルタオチンの減少やチトクロームP-450の誘導によりアセトアミノフェンの中間代謝産物が増加したことが,肝不全の基盤となったものと思われた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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