抄録
門脈圧亢進症に起因する側副血行路は食道静脈瘤を形成する経路が代表的であるが他にも多くの経路が認められる.
今回我々は上腸間膜静脈-下大静脈短絡により猪瀬型肝性脳症を発症し外科的短絡路閉鎖術によって臨床症状の改善をみた1例を経験したので報告する.
術前に施行した上腸間膜動脈からの門脈造影では肝内の門脈は全く造影されず下大静脈に向かう短絡路が造影された.門脈本幹の血流は超音波ドップラー法による測定では術前には遠肝性の血流を示していたが,外科的短絡路閉鎖切除によって門脈血流は求肝性に変化した.
また術後臨床症状および肝機能検査成績の改善を認め,8カ月後に行った門脈造影にても側副血行路の再発はみられず肝内門脈は鮮やかに造影され,短絡路閉鎖術の有効性が示唆された.