肝臓
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肝腫瘍診断におけるnew monoclonal antibody; Ber-EP4の有用性の検討
城 知宏関 寿人中川 泰一田川 善啓福井 康内藤 雄二久保田 佳嗣藤並 滋塩崎 安子井上 恭一坂井 由紀子岡村 明治
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1992 年 33 巻 11 号 p. 855-862

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抄録
新しく開発されたマウス単クローン抗体:Ber-EP4は,肝細胞,胃壁細胞,扁平上皮表層を除くすべてのヒト上皮細胞を認識する抗体と考えられている.今回著者らは肝細胞癌83例,転移性肝癌12例の他,胃癌9例,大腸癌6例,胆嚢,胆管癌13例,膵癌3例,甲状腺癌5例,肺癌8例,乳癌8例,卵巣癌11例,腎癌6例の計164例を対象に,肝腫瘍診断における本抗体の有用性をパラフィン切片を用い免疫組織学的に検討した.肝組織ではすべての胆管上皮に染色され,多くの正常肝細胞では陰性であった.肝細胞癌では分化度,組織型にかかわらず全例で陰性であった.一方転移性肝癌では全例が陽性であり,さらにhepatoid differentiationを示すAFP産生腺癌でも,本抗体は陽性を示した.また他臓器の悪性腫瘍65例の陽性率は84.06%,弱陽性率15.94%で,陰性例は認められなかった.以上より本抗体は肝細胞癌,肝内胆管癌,転移性肝癌の鑑別さらには胆管病変の検索に有用と考えられる.
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© 社団法人 日本肝臓学会
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