1992 年 33 巻 12 号 p. 901-904
1989年12月より1990年7月にかけて兵庫県南部加古川流域の東播地域においてA型肝炎の流行を経験し,多施設共同による調査をおこなった.対象となったA型肝炎患者215人(男性116人,女性99人)の年齢平均値は32.7歳で,2歳から79歳にわたる年齢分布を示し,30歳台が54人で最も多かった.60歳以上の高齢者は9人で,全体の4.3%であった.発症時期は3月上旬と5月上旬の2つのピークが認められ,二峰性の形をしめした.家族内発症は12家族,30人であり,このうち8家族,18人が同時発症であった.検査値では血清GOT, GPT,総ビリルビン値の各患者の頂値の平均値はそれぞれ1,417IU/L(41~7,590), 1,835IU/L(40~7,060),5.2mg/dl(0.4~19.9)であった.また,高齢者ほどビリルビン値が高く,重篤化しやすい傾向にあると考えられた.