肝臓
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ホルマリン固定パラフィン包埋肝生検組織におけるHCV RNAの検出法の確立
non-radioactive in situ hybridizationによる検討
河合 博志
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1992 年 33 巻 12 号 p. 905-913

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抄録

ホルマリン固定パラフィン包埋肝針生検組織におけるC型肝炎ウイルス(以下HCV)の検出をthymine dimer法を用いた非放射性in situ hybridization法により確立した.凍結切片に比し,ウイルスの保存状態に劣るホルマリン固定パラフィン包埋肝組織でのHCVの検出のため,組織のproteinase,塩酸処理に加え,プローブとして3種類の混合合成oligodeoxy-nucleotideの過剰量を使用した.また,バックグラウンド改善の検討では,洗浄のstringencyよりむしろhybridization mixtureからdextran sulfateを除くこと,組織の十分な脱パラフィン化の重要性が示された.HCVゲノム並びに増殖中間体であるマイナス鎖HCVは肝細胞の細胞質に認められ,エンベロープ蛋白の免疫組織染色でも同様の所見が得られた.一方,核には陽性所見を認めず,HCVは主として肝細胞質に存在し,増殖していることが示された.本手法により通常の肝生検組織においてもHCV RNAの局在の検討が可能となり,C型慢性肝炎の病態の検討に極めて有用な手法と考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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