肝臓
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輸血後B型肝炎後にHBVキャリアー状態となったvon Recklinghausen病の1例
大畑 充山内 眞義奥田 丈二佐藤 俊哉水原 裕治戸田 剛太郎畝村 さゆみ
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1993 年 34 巻 10 号 p. 814-818

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抄録

von Recklinghausen病患者が輸血後B型肝炎に罹患し,B型肝炎ウイルス(HBV)キャリアー状態となったきわめてまれな症例を経験したので報告する.症例は59歳の男性.昭和63年3月までの検診では肝機能正常,HBsAg (-).同年7月,小腸のschwanomaより大量出血をきたし緊急手術となり,輸血後急性B型肝炎に罹患.その後トランスアミナーゼ値はGPT優位で40U/l程度に低下したが1年後の検査でもHBsAg (+), anti-HBcAb (200倍希釈)(+), HBeAg (+), DNAポリメラーゼ強陽性,HCV抗体(-)でHBVキャリアー状態となった.肝機能はほぼ正常値を示し,軽度の膠質反応の上昇を認めるのみであった.肝組織像は門脈域に軽度のリンパ球浸潤を認め,慢性持続性肝炎の状態であった.末梢血の細胞性免疫能は低下しており,キャリアー化の一因としてはvon Recklinghausen病による免疫能低下の可能性や大量輸血によって免疫学的寛容状態が生じた可能性が推測された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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