抄録
外科切除された肝内胆管癌26例を腫瘍の占拠部位により末梢型18例,肝門型8例に分け,臨床病理学的に比較検討を行った.頻度は原発性肝癌の7.0%であり,平均年齢は約60歳で差はなかった.末梢型は上腹部痛,肝門型は閉塞性黄疸で発症する例が多く,腫瘍マーカーではCA19-9の陽性率が末梢型46%,肝門型75%と高かった.肉眼型は両型とも結節型,胆管周囲増殖型が同等の割合で多く,塊状型は少なかった.組織型は豊富な間質結合織を有する分化型腺癌が多かった.肝内結石の合併は26例中4例(15%)で,末梢型の1例は結石部に近接した胆管上皮に過形成およびdysplasiaを認め,結石と癌化の関連が示唆された.胆管癌は切除可能な比較的早期の段階より,脈管侵襲,肝外リンパ節転移が高率に認められ,胆管癌が予後不良である一因と考えられた.