2018 年 93 巻 5 号 p. 293-306
Ohashi et al. (2018)に発表したマメ科アコウマイハギ連アコウマイハギ群の系統樹に新たな種を補充した結果,オーストラリアの固有種Desmodium acanthocladum F. Muell.とオセアニアのD. gunnii Benth.は単系統となった.1–2) Desmodium acanthocladumは小枝が刺になり,4節までの短い総状花序をつけることで,アコウマイハギ属では1種よりなる亜属とされていた(Pedley 1999).Desmodium gunniiはその多くが低木または亜低木であり,偽総状花序をつけるsection Heterolomaの中で例外的に匍匐する多年草であり,総状花序をつける.これらの2種について,形態的特徴と分子系統解析の結果とをあわせて,それぞれPedleya H. Ohashi & K. OhashiとPullenia H. Ohashi & K. Ohashiとを設立した.PedleyaはオーストラリアBrisbane Botanic Gardensのマメ科分類学者で,オーストラリアやスリランカのアコウマイハギ連をまとめたLes Pedley 氏に献名した.1998–1999年に東北大学チームのオーストラリア産アコウマイハギ連調査に同行していただいた.Pullenia はオーストラリア産アコウマイハギ属を研究し,その多くの重複標本を寄贈して下さったRoy Pullen氏に献名した.3) Desmodium strigillosum Schindl.はシバハギ Grona heterocarpon (L.) H. Ohashi & K. Ohashi, Grona styracifoia (Osbeck) H. Ohashi & K. Ohashiなどに形態が近似するが,花粉がGrona と異なってDesmodium section Heterolomaと似ているために所属を決めかねていた.今回の系統解析の結果によってGronaのクレードに含まれれたことで所属が分かり,Grona strigillosa (Schindl.) H. Ohashi & K. Ohashiと組替えた.4) Uraria barbaticaulis Iokawa, T. Nemoto, J. Murata & H. Ohashi は今回の系統解析の結果 Sohmaeaに属することが分かり,S. barbaticaulis (Iokawa & al.) H. Ohashi & K. Ohashi に組替えた.