肝臓
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シェーグレン症候群(Sjs)の肝病変におけるC型肝炎ウイルス(HCV)感染の関与
小嶌 秀之北神 敬司植村 正人松村 吉庸吉田 太之吉治 仁志坂口 嘉一岩澤 秀西村 公男東野 正高谷 章福井 博辻井 正土肥 和紘
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1994 年 35 巻 11 号 p. 783-790

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抄録

シェーグレン症候群(Sjs)の肝障害におけるC型肝炎ウイルス(HCV)感染の関与について検討した.HCV-RNAは肝障害を伴うSjs18例中9例に陽性で,HCV陽性例は陰性例に比べGPTの最高値,ICG, γ-Glob.が高値,HPTが低値であった.腹腔鏡像ではSjsに特有の所見はなかったが,HCV陽性例は陰性例より凹凸不整が高度で,その肝表面像はHCVによる変化を反映したものと思われた.HCV陰性例ではPBCなどの自己免疫性肝障害もみられたものの,一般に軽微な組織変化の症例が多く,肝病変の進展は2例のみに認められ,HCC発現はなかった.これに対し,HCV陽性例は全例CAHないしLCで,9例中6例に肝病変の進展が認められ,2例でHCCが発現した.さらにHCV陽性例の大部分が乾燥症状より肝障害が先行したが,これはHCVがSjsの誘因となる可能性を示唆する成績と思われた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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