肝臓
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インターフェロン治療を契機に急性増悪し,一過性に抗核抗体の陽性化,HCV-RNAの陰性化をきたすなど,特徴的な経過をとったC型慢性肝炎の1例
藤田 昌明高橋 泰行
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1994 年 35 巻 3 号 p. 235-239

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抄録

症例は,36歳の男性で,C型慢性活動性肝炎と診断し天然型インターフェロンα(HLBI,以下IFN)投与を開始した.投与前には自己抗体は陰性でγグロブリンも正常であった.投与後GPTは正常化したが,その後投与開始5週目頃より上昇し,最高値としてGPT1,360IU/l, T-Bil 14.3mg/dlまで上昇した.投与開始9週でIFNを中止し,SNMC投与をおこなった.IFN中止後,抗核抗体などの自己抗体が陽性化し,HCV-RNAは陰性化していた.SNMC投与により肝機能は徐々に改善し,その後RNAの陽性化,自己抗体の陰性化を認めた.現在IFN-βを投与し経過観察中である.IFN投与に伴い,肝機能増悪と,自己抗体の陽性化などの自己免疫誘導をきたしたと思われた.慢性肝炎に対するIFN療法の普及に伴い,このような病態の出現も念頭におく必要があると思われた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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