肝臓
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肉芽腫がみられたC型慢性肝炎の1例
山本 晋一郎大元 謙治井手口 清治高取 敬子島原 将精三井 康裕井口 泰孝
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1995 年 36 巻 4 号 p. 219-222

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抄録

肉芽腫を認めたC型慢性肝炎の1例を経験したので報告する.患者は47歳男性で1985年2月腸閉塞の手術を受け,この時600mlの輸血を受けた.3ヵ月後輸血後肝炎を発症し,GPTの変動が持続していた.1992年インターフェロンα-2bの投与を受け(総投与量456MU)肝機能は改善しHCV-RNAも陰性化した.インターフェロン投与終了より1年後肝生検を施行した.肝組織では,門脈域にはリンパ球の浸潤がみられ同部に肉芽腫を認めた.また肝小葉内にも肉芽腫がみられた.肉芽腫は壊死を伴わずまた抗酸菌染色では陰性であった.血清中のACEおよびリゾチームは正常値内であり抗ミトコンドリア抗体も陰性であった.われわれの施設においては,352例中の肝生検中3例(0.85%)に肉芽腫を認めたが,C型慢性肝炎においては稀であり,肉芽腫出現の意義は今後検討されるべき課題と思われる.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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