肝臓
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心不全および多発ニユーロパチーを合併したgiant cell hepatitisの1症例
鯉田 勲茶山 一彰荒瀬 康司斎藤 聡坪田 昭人小林 正宏鈴木 義之村島 直哉池田 健次熊田 博光
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1996 年 37 巻 2 号 p. 109-114

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抄録

亜急性の経過にて重症化し2度は救命しえたが2度めの再燃で死亡したgiant cell hepatitis の1症例を報告した.症例は20歳の男性.発熱,咽頭痛,リンパ節腫脹,関節痛,肝障害にて発症.重症化回避のためプレドニゾロン(PSL) 40mg/dayを投与したが改善せず,PSL 60mg/dayまで増量するもT. Bilは36.5mg/dlまで漸増し,41℃にも及ぶ発熱も持続した.腹部超音波およびCTにては肝脾腫がみられた.原因不明のまま約4カ月後より解熱傾向がみられ,同時に肝機能の改善もみられた.肝生検を施行したところ,多核巨細胞を認め臨床経過よりgiant cell hepatitisと診断した.また同時に,心胸郭比が75%まで拡大するうっ血性心不全および多発ニューロパチーを認めたが,肝機能の改善とともに軽快した.1年4カ月後の再燃は新鮮凍結血漿の投与にて改善したが,3年4カ月後の再燃では,肝不全にて死亡した.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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