肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
破裂肝細胞癌に対する肝切除成績とその再発形式
長堀 薫松田 政徳奥田 純一馬 文鋒山本 正之松本 由朗
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 38 巻 4 号 p. 232-237

詳細
抄録

肝細胞癌 (以下, 肝癌) 破裂例に対する切除成績と再発形式を分析した. 対象は肝癌破裂9例のうち肝切除術を施行した8例で, 全て男性, 平均年齢は54.2歳, B型肝炎ウイルス陽性が5例, 肝硬変の併存を4例にみとめた. 緊急手術は2例, 待機手術が6例であり, 7例に肉眼的治癒切除を行ない得た. 平均腫瘍径は6.8cm, 門脈侵襲と肝内転移陽性がそれぞれ4例と7例であり, 3例に腫瘍を被覆した組織内に癌細胞を認めた. 術死はなく, 50%生存期間は19.0カ月, 3年以上生存は4例であった. 肉眼的治癒切除7例中1例は113カ月間無再発生存中で, 他の6例は平均10.3カ月で再発し初回再発部位は肝内と腹膜がそれぞれ, 3例ずつであった. 非治癒切除の1例を含めて腹膜播種巣はいずれも膨脹性に発育しており, 切除し得た. 癌転移抑制遺伝子nm23-H1遺伝子の発現は陽性4例, 陰性3例で陰性の全例が腹膜播種性転移をきたした.

著者関連情報
© 社団法人 日本肝臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top