肝臓
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肝細胞癌腫瘍マーカーとしての血清抗p53抗体の有用性
宮内 嘉明有馬 啓治黒河内 和貴渡辺 精四郎桑原 宏子西岡 幹夫
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キーワード: 抗p53抗体, 肝細胞癌
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1997 年 38 巻 4 号 p. 225-231

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抄録

今回われわれは各種肝疾患135例について血清中の抗p53抗体 (p53抗体と略す) を測定した. 用いた標的p53抗原は, p53AKBR, p53のアミノ酸37~52を含むリコンビナントペプタイドである. p53抗体は肝細胞癌 (HCC) 患者102例中37.3%に陽性であった. 対照例では, 肝硬変症 (LC) 18例中1例 (5.6%), 自己免疫性肝炎 (AIH) 15例中1例 (6.7%) に弱陽性で, 健常人35例は全例陰性であった. p53抗体の腫瘍径別陽性率は, 単発性HCCで, 径3cm未満が径3cm以上に比し有意に高かった (p<0.05). 起因ウイルス別陽性率は, HCV感染例がHBV感染例に比し高かった. p53抗体は, α-fetoprotein (AFP) との相関は無く, AFP陰性HCCにおいても39.3%に陽性であった. p53抗体はHCCの診断, 特に早期のHCCにおいて有効であった.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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