肝臓
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産生肝細胞癌の1剖検例
堀 伸一郎竹林 治朗岡本 朋子瀬津 弘順妹尾 知典
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キーワード: 肝細胞癌, 白血球増多
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1998 年 39 巻 6 号 p. 401-405

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抄録

症例は55歳の女性で, C型肝硬変および肝細胞癌と診断して, 肝動脈塞栓療法を6回繰り返した. 診断4年後に縮小していた腫瘍が再び増大し, 胸水, 腹水, 黄疸, 吐血および肝性脳症が出現し死亡した. 発熱はなく, 末梢血白血球数は52, 400 (好中球91.6%) /μlと増加した. 剖検では, 肝硬変に肝細胞癌 (多結節癒合型, 索状型, 中分化型) を合併し, 遠隔転移を認めた. 脾は250gで, 骨髄もとくに異常なかった. 血中granulocyte colony-stimulating factor (G-CSF) は42pg/mlと高値で, G-CSFは肝癌組織で175pg/g wet weight, 非癌部肝組織で78 pg/g wet weightであった. 抗rhG-CSF抗体と抗proliferating cell nuclear antigen (PCNA) 抗体を用いて免疫組織染色を行い, G-CSFは一部の中分化肝癌細胞の細胞質に陽性で, 非腫瘍部の肝細胞には陰性であった. また, PCNA陽性肝癌細胞の近傍でG-CSFが陽性となることが二重染色でも確認された.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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