肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
肝細胞癌の血管造影所見と肝動脈塞栓術の治療効果に関する検討
畑中 正行高崎 健大坪 毅人次田 正山本 雅一片桐 聡
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 40 巻 3 号 p. 128-134

詳細
抄録

肝細胞癌129結節 (初回治療75結節, 切除後再発54結節) を対象とし, 血管造影所見および腫瘍径とTAEによる治療効果の関係を検討した. 血管造影所見としては, 腫瘍と非腫瘍の境界 (明瞭, 不明瞭), 腫瘍濃染の均一性 (均一, 不均一), 腫瘍濃染の程度 (強, 弱) について行い, TAE後1年経過後もviable lesionの出現を認めない結節を完全壊死結節とした. 完全壊死率は境界明瞭結節で61%, 均一濃染結節で57%, 強濃染結節で40%と有意に良好であり, 腫瘍径別検討では初回例では20mm~30mm, 再発例では10mm~20mmの腫瘍径において治療効果は最も良好だった. また, 境界明瞭, 均一濃染, 強濃染を示す結節の頻度は, 再発例において高く, 初回例では20%, 再発例では41%が完全壊死となり再発例の方が総じて治療成績は良好だった. 血管造影所見と腫瘍径を考慮して適応症例を選べばTAEの治療成績の向上が期待できる.

著者関連情報
© 社団法人 日本肝臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top