肝臓
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肝硬変症に伴うこむら返り症状に対する分岐鎖アミノ酸の有用性
後藤 紀子飯田 和成萩澤 良美
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2001 年 42 巻 11 号 p. 590-599

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抄録

Child B及び一部 Child Cを含む29例の肝硬変患者に分岐鎖アルブミン製剤 (BCAA顆粒) を投与し, BCAA顆粒のこむら返り症状に対する投与効果を検討し, 投与前及び3カ月後においてアミノ酸分析を行った. 投与前においてこむら返り症状は66%に認められ, その発生回数 (0~20回/週) は血中タウリン濃度とのみ有意 (p<0.05) な逆相関関係が認められた.
BCAA顆粒投与にて対象例全例の検討で体重, 総タンパク濃度, アルブミン濃度, 赤血球数に有意な上昇を認めた. こむら返り症状のある群 (19例) はBCAA顆粒投与後に有意(p<0.001) に発生頻度が低下しており, タウリン濃度の有意な上昇 (p<0.01) が認められた. また、メチオニン濃度の低下傾向 (p<0.1) を認め, タウリン合成活性化の関与が示唆された. BCAA顆粒は栄養状態の改善だけでなく, こむら返り症状の改善も望める治療法であると考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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