肝臓
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慢性肝疾患に続発した糖尿病に関する検討
診断基準と臨床的特徴について
西田 勉柴田 道彦佐藤 智信春名 能通今野 英一神田 勤
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2001 年 42 巻 7 号 p. 360-367

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抄録

日本糖尿病学会の病型分類(1999年)に慢性肝疾患に由来する糖尿病が新たに追加された. これらはインスリン抵抗性が著明なことから, 他の糖尿病と異なり, 空腹時血糖値(FPG)に比し, 2時間血糖値(2H-PG)高値となることが推測される. そこで慢性肝疾患236例 (肝硬変193例, 慢性肝炎43例) に対し, 75g経口ブドウ糖負荷試験 (OGTT) を施行し, 2H-PG 200mg/dlに相当するFPGを明らかにし, 慢性肝疾患に合併する糖尿病診断の問題点を検討した. OGTTより肝硬変では2H-PG=FPG×2.5-47, 慢性肝炎では2H-PG=FPG×3.2-168の回帰式が得られた. 2H-PG: 200mg/dlに相当するFPGは肝硬変99mg/dl, 慢性肝炎115mg/dlであり, 日本糖尿病学会診断基準値FPG=126mg/dlより著しく低値であった. 従って慢性肝疾患において糖尿病の合併を早期診断するには, FPGが110mg/dl未満であっても, OGTTを積極的に実施する必要があると思われる.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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