肝臓
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インターフェロン投与を契機に急性増悪を来したC型慢性肝炎の1例
桐山 和雄姫野 誠一
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2002 年 43 巻 11 号 p. 487-491

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抄録

症例は40歳男性. C型慢性肝炎のIFN治療のため受診. GOT 147IU/l, GPT 238IU/l, HCV-RNA陽性で肝生検像は慢性活動性肝炎であった. IFNα2b 10MIU/日の投与を開始したところ, 1週間後GOT 805IU/l, GPT 1130IU/lなど肝機能の急性増悪, HCV-RNAの陰性化とIFN投与前陰性であった抗核抗体の陽性化を認めた. IFN投与を中止しSNMCなど投与にて肝機能は一旦改善したが, 1カ月後肝炎の再燃を認めた. その後肝炎は沈静化したが, 約5カ月後GOT 344IU/l, GPT 555IU/lと上昇し, HCV-RNAの再陽性化を認めた. 経過観察のみで肝機能異常は徐々に改善し, また抗核抗体は陰性化した. C型慢性肝炎のIFN治療においてウイルスが消失すれば肝機能は通常正常化する. 本例ではIFN投与により自己免疫, あるいは細胞性免疫が異常に誘導されたことにより, 肝機能の急性増悪が生じたものと推測する.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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