2002 年 43 巻 11 号 p. 498-506
非肝硬変性門脈大循環短絡症の2例を経験し, バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術 (以下B-RTO) により肝予備能, 肝組織像の経過を観察しえたので報告した.
症例1: 75歳, 女性. 意識障害にて当院へ入院. 高アンモニア血症を認め肝性昏睡と診断. 肝生検では non-alcoholic steatohepatitis 類似の組織所見を呈した. 血管造影にて下腸間膜静脈-左腎静脈短絡路を認め, B-RTOを施行. 治療後2年にわたり高アンモニア血症と肝予備能の改善を認め, 肝組織所見も著明に改善した.
症例2: 68歳, 女性. 意識障害にて当院へ入院. 高アンモニア血症を認め肝性昏睡と診断. 肝生検では慢性肝炎の所見であった. 血管造影にて回結腸静脈-下大静脈短絡路が疑われ, B-RTOを施行し, 肝性脳症は生じなくなった. 治療1年後の肝予備能及び肝組織所見に変化は認めなかった.